世界経済フォーラム(WEF)は2021年のダボス会議(年次特別総会)をシンガポールで5月25~28日に開催を予定しています。
テーマは「グレート・リセット」です。
ダボス会議とは、スイス・ジュネーブに本拠を置く非営利財団の世界経済フォーラムが毎年、世界を代表する政治家や実業家が一堂に会し、世界経済や環境問題など幅広いテーマで討議します。
2020年のダボス会議では環境危機を訴えるスウェーデンの活動家グレタ・トゥーンベリさん17歳が地球温暖化対策が何も進んでいないとして、各国首脳たちに「今すぐに行動を」と叱責しました。
グレート・リセット ダボス会議で語られるアフターコロナの世界は世界経済フォーラムの創設者で現在も会長を務めるクラウス・シュワブ氏の本で、コロナ・ショックをふまえた世界経済や環境問題について解説しています。
新型コロナウィルス感染症のパンデミックによって世界は一変しました。
「コロナウィルス前の世界にはもう戻れない」とクラウス・シュワブ氏いいます。
パンデミックを機に「世界の方向性が根本的に大きく変わる」そうです。
グレート・リセット ダボス会議で語られるアフターコロナの世界は、次回のダボス会議のテーマである「グレート・リセット」をベースに経済や環境、個人の生き方にまで落とし込んだ内容となっています。
命を犠牲にして経済を守るべき経済論の誤り
ひとつめのリセットは「経済」です。
現在の経済は過去数百年の経済とは根本的に変わってきている。
世界の人口が飛躍的に増加し、航空輸送の発達で世界中どこにでも行けるようになり、何十億人が国境を超えています。
人間は自然を開拓して野生生物の生息地まで侵入するようになりました。さらに巨大都市に何百万単位の人々が密な状態で暮らしているのです。
過去のペストやスペイン風邪といった疫病の歴史で何度も繰り返されたこと
- パンデミックが通商路を通じて拡がる
- 公衆衛生を重んじる者と経済を優先させたい者の間で利害が対立する
ことなのだそうです。
「命」と「経済」はトレードオフの関係ではなく両方の対策が必要です。
政府はありとあらゆる策を講じ、どれだけコストをかけても国民の健康や社会的な富を維持しなければならない。
引用:グレート・リセット ダボス会議で語られるアフターコロナの世界
「命を救わない限り、生活は守れない」ので、経済回復をするためにも人々の健康を中心にとらえた政策が必要です。
ポストコロナ時代の経済成長率は、かなり低い水準にとどまることが予想されます。
本当に価値があるものは何かを冷静に見つめ直す契機が訪れた。今こそ経済をより公平で環境に優しい形に生まれ変わらせる精度の変更や、その方向に向かって加速できるようにする政策を選択するチャンスだ。
引用:グレート・リセット ダボス会議で語られるアフターコロナの世界
ピンチをチャンスにして「経済をより公平で環境に優しい形に生まれ変わらせる」ことを期待したいと思います。
生態系の崩壊と気候変動がもたらすリスク
ふたつめのリセットは「環境」です。
生物多様性が減ると感染症にどのように作用するか、パンデミックが気候変動にどんな影響を与え得るかなどを考えると、人類と自然が、危うさを伴う微妙なバランスと複雑な相関関係の上に成り立っていることが分かる。
引用:グレート・リセット ダボス会議で語られるアフターコロナの世界
動物から人間に移る感染症が近年大幅に増えている。原因としては「森林破壊」です。
世界中の研究者たちは熱帯雨林や豊かな野生生物などの自然環境が、デング熱、エボラ、HIVなどの発生源であるとされてきましたが、逆の考え方もあるそうです。
人間が木を伐採し、動物を殺すか檻に入れて市場に送ることで、生態系が破壊され、ウィルスは新たな宿主を見つけなければならない。そこで宿主として人間が選ばれるのだそうです。
生物多様性を破壊するとパンデミックの数が増えます。この50年で動物から人間に移る感染症が4倍増加したというデータもあります。
また、大気汚染によって、あらゆるコロナウィルスが健康を悪化させるそうです。
大気汚染がひどい地域では新型コロナウィルス感染者の致死率が高い、というデータが報告されています。
気候変動問題については2つのシナリオが懸念されています。
ひとつは「経済復興のために地球温暖化問題を棚上げする」シナリオで、もうひとつは「経済をより持続可能な形に設計し直す」シナリオです。
ことなのだそうです。
「命」と「経済」はトレードオフの関係ではなく両方の対策が必要です。
政府はありとあらゆる策を講じ、どれだけコストをかけても国民の健康や社会的な富を維持しなければならない。
引用:グレート・リセット ダボス会議で語られるアフターコロナの世界
「命を救わない限り、生活は守れない」ので、経済回復をするためにも人々の健康を中心にとらえた政策が必要です。
ポストコロナ時代の経済成長率は、かなり低い水準にとどまることが予想されます。
本当に価値があるものは何かを冷静に見つめ直す契機が訪れた。今こそ経済をより公平で環境に優しい形に生まれ変わらせる精度の変更や、その方向に向かって加速できるようにする政策を選択するチャンスだ。
引用:グレート・リセット ダボス会議で語られるアフターコロナの世界
ピンチをチャンスにして「経済をより公平で環境に優しい形に生まれ変わらせる」ことを期待したいと思います。
生態系の崩壊と気候変動がもたらすリスク
ふたつめのリセットは「環境」です。
生物多様性が減ると感染症にどのように作用するか、パンデミックが気候変動にどんな影響を与え得るかなどを考えると、人類と自然が、危うさを伴う微妙なバランスと複雑な相関関係の上に成り立っていることが分かる。
引用:グレート・リセット ダボス会議で語られるアフターコロナの世界
動物から人間に移る感染症が近年大幅に増えている。原因としては「森林破壊」です。
世界中の研究者たちは熱帯雨林や豊かな野生生物などの自然環境が、デング熱、エボラ、HIVなどの発生源であるとされてきましたが、逆の考え方もあるそうです。
人間が木を伐採し、動物を殺すか檻に入れて市場に送ることで、生態系が破壊され、ウィルスは新たな宿主を見つけなければならない。そこで宿主として人間が選ばれるのだそうです。
生物多様性を破壊するとパンデミックの数が増えます。この50年で動物から人間に移る感染症が4倍増加したというデータもあります。
また、大気汚染によって、あらゆるコロナウィルスが健康を悪化させるそうです。
大気汚染がひどい地域では新型コロナウィルス感染者の致死率が高い、というデータが報告されています。
気候変動問題については2つのシナリオが懸念されています。
ひとつは「経済復興のために地球温暖化問題を棚上げする」シナリオで、もうひとつは「経済をより持続可能な形に設計し直す」シナリオです。
環境問題に向き合わないとこれからも「動物から人間に移る感染症」が増えて、パンデミックが繰り返されます。
今回のパンデミックを教訓として「世界はひとつ」になって欲しいと心から思います。
自然と健康の重要性
みっつめのリセットは「個人」です。
ポストコロナの世界では「協力という概念、共同体を重んじる考え、社会の利益と思いやりのためなら自分の利益を犠牲にする価値観」が重んじられ、反対に「個人の権力、名声やステータスをひけらかすと冷ややかな目で見られる」ようになりました。
エコノミストは世界経済が日本化することを懸念しています。
日本は「豊かな国の中でも社会格差が小さい」「派手な消費の割合が世界でもかなり突出して低い」という特徴があります。
ポジティブな意味として「こんまり」を代表とする「厳選して少ないモノを所有するメリット」や「一生をかけた人生の意義や目的探し」「自然の大切さや森林浴の習慣」があげらるそうです。
個人レベルのリセットとしては「派手な消費や大量消費は人にも地球にもプラスにならない」という考え方です。
人はロックダウンの間でも森林や公園、庭などの自然を求めていました。
自然の豊かさや多様性、野生の生き物や森林、動物や植物などから遠く離れると、人間の心や体、日々の感情や心の健康に悪影響があると伝える専門家が多くいます。
だからこそ「自然に対する敬意をもって」経済活動も環境保護も必要だということが、個人にまでつながります。
アフターコロナの世界
グレート・リセット ダボス会議で語られるアフターコロナの世界ではパンデミックは「社会をかえりみ、考え直し、リセットするという千載一遇のチャンス」だととらえています。
アフターコロナの世界では公正さが前面に出てきます。公正さが問われる問題は多岐にわたり、大多数の人々の実質所得の停滞から、社会契約の見直しまで様々です。
人類の存在を脅かす4つのグローバルな危機
- 核の脅威
- 気候変動
- 森林、海産物、表土、水といった生命にかかせない資源の浪費
- 世界中に広まった生活水準の格差
世界各地で「よりよい未来」を求める運動や、GDPの成長よりも人類全体の健やかな生活を優先させる経済システムへの移行を求める声が高まっています。
私はグレート・リセット ダボス会議で語られるアフターコロナの世界を読んで、新型コロナウィルスという共通の敵を制圧した世界は、ひとつになって人類を脅かす危機を解決できると思いました。
コロナ以前の世界に戻るのではなく、よりよい未来に向けて世界が変わることを願います。