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【2050年】地球温暖化を逆転させる100の方法「食編」【フードロス問題】

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地球温暖化対策で「食」というとイメージがつきにくい印象ですが、私たちの食の在り方によって温室効果ガスを生み、自然環境への負荷となっています。

このブログではお馴染みの「SDGs(持続可能な開発目標)」では、世界の食の不均衡作りすぎの問題を指摘しています。

「SDGs 2.飢餓をゼロに」では世界の食糧は、世界人口全員が十分に食べていける量があるにもかかわらず、飢餓で苦しむ人がいます。

SDGs 12.つくる責任つかう責任」では食品の1/3を占める13億トンの食料が毎年無駄に捨てられています。

その食の不均衡や、食料廃棄は温室効果ガスを生み、地球温暖化につながっています。

さらに深掘りをすると食料を生み出す過程において、農業から森林伐採、食料廃棄まですべての食料関連と家畜の排出量をあわせると、私たちが食べるものは、エネルギー供給分野と並んで地球温暖化の原因の第1位になるそうです!

DRAWDOWNドローダウン― 地球温暖化を逆転させる100の方法は190人の研究者、専門家、科学者の国際的なグループが結集して、気候変動に対する現実的かつ大胆な解決策をまとめています。

分野は「エネルギー」「食」「女性と女児」「建築と都市」「土地利用」「輸送」「資材」に分かれています。

どれも深いテーマなので、今回は「食」についてまとめます。

食料廃棄の削減をしよう

DRAWDOWNドローダウン― 地球温暖化を逆転させる100の方法では「CO2削減」「コスト」「節減額」の視点で2050年までの成果をランキングづけしています。

「食料廃棄の削減」の2050年までに地球温暖化を逆転させる効果は

食料廃棄の削減はCO2削減(70.53ギガトン)コストと節減額(データ変動が大きすぎて算定できず)で総合3位

「食料廃棄の削減」「風力発電」に次いで総合3位のインパクトがあります。

食料の問題低所得国にも高所得国にもある問題です。

低所得国の場合インフラが脆弱な場所では意図しないフードロスが発生します。

  • 悪路、冷蔵設備や貯蔵設備の不足、粗末な用具や包装、高温と多湿という悪条件
  • 農場で腐敗したり、貯蔵や流通の途中でだめになるといった、サプライチェーンの早い段階でフードロスが発生

高所得国の場合は意図しないフードロスは最小限に抑えられるが、故意の食料廃棄が発生します。

  • 小売業者は見た目の悪い食品を排除し、客からクレームがないように多く仕入れ食品を無駄にする
  • 消費者も見た目の悪い食品を排除し、多く買い物をして、まだ食べられるものを捨てる

需要と供給の基本法則もあり、収穫しても採算が取れない作物は畑に放置され、売れない商品は倉庫に眠り、賞味期限が過ぎたら廃棄されます。

食べない食料を生産すれば、種子、水、エネルギー、土地、肥料、労働時間、金融資本などたくさんの資源を浪費することになり、それぞれの段階で温室効果ガスが排出されるのです。

ちなみに食料廃棄の問題解決として、フランスではスーパーマーケットが売れ残った食品を捨てることを禁じ、慈善団体や動物飼料・堆肥会社に譲渡することを義務付けた法律があります。

ここまで読んで思いましたが、このあらゆる無駄に関してもテクノロジーの力で解決できる問題だと思いました。

SDGsを意識した企業の行動が可視化されたら、農家から製造工場、小売業、消費者も無駄を排除できるかもしれません。

また、大量に海外から食料を輸入する必要がなくなれば、高所得国が食料の価格を決めることが少なくなり、世界の貧困で困っている人に食料が届けやすくなります。

植物性食品を中心とした食生活

日本でも食の欧米化といわれ和食離れがありますが、肉食中心とした西洋型食生活が毎日だと日本人にとっては辛いですよね〜

成人が1日に必要なタンパク質は50gですが、米国やカナダでは平均的な成人は動物性タンパク質を中心として、1日90グラム以上のタンパク質を摂取しています。

動物性タンパク質の過剰摂取は、癌、脳卒中、心臓病になるリスクを高めます。

さらなる問題として牛などの反芻動物は、餌を消化する際に強力な温室効果ガス「メタン」を発生させます。さらに、家畜飼料を栽培するための農地利用、それに伴うエネルギー消費からも、二酸化炭素が排出され、ふん尿と窒素肥料は亜酸化窒素を放出します。

肉食を中心とした西洋型食生活は、人間の健康にも、温暖化対策にも影響があるのです。

「植物性食品を中心とした食生活」の2050年までに地球温暖化を逆転させる効果は

植物性食品を中心とした食生活はCO2削減(66.11ギガトン)コストと節減額(データ変動が大きすぎて算定できず)で総合4位

WHO(世界保健機関)によると1日のカロリーのうちタンパク質由来は10〜15%だけでよく、植物性食品を中心とした食事で十分に満たせます。

ビーガン(完全菜食主義)、ベジタリアン(チーズ、牛乳、卵は食べる※ベジタリアンにも種類がある)、リデュースタリアン(肉食減量主義)などいろんな主義がありますが、肉食中心とした西洋型食生活は地球にも人間にも優しくないので、見直す必要があります。

林間放牧で三方よし

DRAWDOWNドローダウン― 地球温暖化を逆転させる100の方法を読んで初めて知ったのですが、林間放牧のことを英語で「シルボパスチャー」といいます。

牧畜をする場合、牧場をつくるため大規模な森林破壊が行われ、地球温暖化へつながります。

シルボパスチャー(林間放牧)は森林を活かします。家畜は森林の中に放牧され、草を食べながら自由に移動ができます。さらに森林からはナッツや果物、キノコ、メープルシロップなどの家畜以外の収穫物にも恵まれるので、さらに収入が得られるメリットがあります。

典型的な木のない牧草地では、家畜は猛暑や寒さなどに耐えなければなりませんが、シルボパスチャー(林間放牧)の場合は日陰や風除けになる場所があり、餌となる草も豊富です。

「シルボパスチャー(林間放牧)」の2050年までに地球温暖化を逆転させる効果は

シルボパスチャー(林間放牧)はCO2削減(31.19ギガトン)コスト(4.45兆円)節減額(74.84兆円)で総合9位

シルボパスチャー(林間放牧)

  • 畜産業にとっては森林を活かす事で多角経営が可能となり収益が向上。
  • 消費者にとってはストレスの少ない、健康的な家畜から得られた牛乳や肉を美味しく食べられる。
  • 森林の生態系を守り、結果として地球温暖化が防げる

まさに「三方よし」の状態です。

「三方よし」とは日本の考え方で「買い手よし、売り手よし、世間よし」ということです。どれかが欠けてしまうとサスティナブル(持続可能)ではなくなります。

シルボパスチャー(林間放牧)が世界に広まることを希望します!

耕さない農業のススメ

DRAWDOWNドローダウン― 地球温暖化を逆転させる100の方法では「農業」については「環境保全型農業」「環境再生型農業」が地球温暖化を逆転させる効果があると紹介されています。

「環境保全型農業」とは

  • 土壌の撹乱を最小限に抑える(耕さない)
  • 地被植物※を維持する(※地表面を覆って地肌を隠す植物)
  • 作物の輪作※を管理する(※連作障害対策のために同じ土地に別の農作物を変えて栽培方法のこと)
  • 化学肥料、農薬は使用可能(貧困国では高額のため使用しないケースもある)

環境再生型農業」とは痩せた土地を回復させる農法

  • 耕さない不耕起栽培
  • 多様な被覆作物(雑草抑制、土壌水分や地温の調整、緑肥効果目的の植物)
  • 農地そのものに地力をつける(外部からの養分投入は不要)
  • 農薬や化学肥料は一切使わないか最小限

どちらも共通している点は「耕さない」ということです。

畑を耕して雑草を退治し、肥料をすき込むと反転して上になった土から水分が蒸発します。畑を耕せば土の養分が乏しくなり、生命力が低下するのです。また土中に蓄えられていた炭素が大気中に放出されることもあります。

「環境保全型農業」「環境再生型農業」の2050年までに地球温暖化を逆転させる効果は

  • 環境保全型農業はCO2削減(17.35ギガトン)コスト(4.01兆円)節減額(226.84兆円)で総合16位
  • 環境再生型農業はCO2削減(23.15ギガトン)コスト(6.1兆円)節減額(206.51兆円)で総合11位

日本の自然農法を広めた福岡正信氏「不耕起(耕さない)、無肥料、無農薬、無除草」を提唱しています。

稲を刈る前にクローバーの種を蒔き、裸麦の種の粘土団子を蒔き、稲を刈ったら稲わらを振りまく。麦を刈る前に稲籾の粘土団子を蒔き、麦を刈ったら麦わらを振りまくという栽培技術

引用:米麦連続不耕起直播

まさに「環境保全型農業」「環境再生型農業」をあわせた概念です

福岡正信氏の自然農法の考え方は世界に広まっていて、地球温暖化対策に貢献していることがつながりました。

正確に言うと「環境再生型農業」は農薬や化学肥料は一切使わないか最小限ですが、残念ながら「環境保全型農業」では使用されています。しかしながら「環境再生型農業」への導入として活用されていけば良いと思います。

エネルギーと同じように農業についても、自然栽培や有機栽培は難しいと言われてきましたが、少し近づきました。

世界中で「環境保全型農業」「環境再生型農業」が広まることを心から願います。