SDGs

【行動経済学】SDGsは実は流行っていない?【キレイごとでは売れない】

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人間は必ずしも合理的に意思決定をしていない。

たしかに「からだに良い」といわれても、毎日運動をしたりヘルシーな食事だけで生活をすることはなかなか難しいものです。

エスカレートすると後先考えずにバカな行動をSNSであげるといった、合理的に考えたら選ばない選択を自ら選んでしまうのは、意思決定に歪み(バイアス)が生じているからだそうです。

そうした人間の意思決定の研究をしているのが行動経済学という分野です。

その行動経済学を読み解いた人は悪魔に熱狂する 悪と欲望の行動経済学という本を読んで、人は面白いくらい合理的には行動しないということがわかります。

最近SDGsが取り上げられ、グローバル企業や大企業が動き始めた印象がありますが、オーガニック業界にいる人間としては、ずいぶん前から言ってきたことだよね〜と思ってしまっていました。

しかしながら、この本を読んで考え方を改めました!

人は「キレイごとでは商品を買わない」ということです。

人は悪魔に熱狂する 悪と欲望の行動経済学を読んで私なりに面白かったテーマをまとめたいと思います。

大人を苛立たせるグレタさん

グレタ・トゥーンベリさんは2018年の国連気候変動会議(COP24)で世界のリーダーを前にスピーチを行った16歳の少女です。

温暖化解決のための具体的な行動を取らないのであれば「結果とともに生きなければいけない世代」はあなたたちを許さないと強く訴えました。

引用:グレタ・トゥーンベリさん、国連で怒りのスピーチ。「あなたたちの裏切りに気づき始めています」(スピーチ全文)

国連のスピーチに至る前提として、グレタさんは15歳にして学校の授業時間にも関わらず、スウェーデン議会の外に座って「気候のための学校ストライキ」と書いた看板を1人で掲げていました。

その呼びかけがSNSによって世界に広まり、オーストラリア、オーストリア、ベルギー、カナダ、オランダ、ドイツ、フィンランド、デンマーク、日本、スイス、英国、米国で学生たちがデモをしています。

その行動に対してオーストラリアの首相が「学校で学ぶ時間を増やすことを望む」と発言したり、ベルギーの環境大臣が「情報機関が彼女に黒幕がいる証拠を掴んだ」と陰謀説を発信しました。

さらにロシアのプーチン大統領は「現代は世界が複雑で多様であることを、誰もグレタに教えていない」とコメントしたり、EUの外務・安全保障政策上級代表は「グレタ症候群」と揶揄しました。

世界のリーダーたちがこんなに苛立ってしまう理由として

世の中には「正論」を振りかざすと「怒る」大人がたくさんいます。

人が「正論」を嫌う理由として行動経済学では「ナイーブ・シニシズム」というバイアスの影響だと言います。

「自分は相手の意見を理解するように努力している」のに「相手は自分の意見を理解する努力を怠り(たとえ正論であろうとも)好き勝手な意見を言っている」ように思ってしまうそうです。

「地球温暖化への対策を進めるべきだ」と思っている人でも

グレタさんから強い口調で「温暖化対策をしなさい!」と「強制」されると、多くの人が「反発」してしまいます。

少女の怒りが大人たちを動かしているのは事実なので、大変かもしれないけどグレタさんには頑張って欲しいと個人的に思っています。

SDGsは「キレイごと」なのか

このブログではお馴染みのSDGs(エスディージーズ)についても人は悪魔に熱狂する 悪と欲望の行動経済学で分析をしています。

SDGsを簡単に説明すると

Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)を略したもので2015年9月に国連で開かれたサミットの中で世界のリーダーによって決められた、国際社会の共通目標で2030年の達成を目指しています。

17の目標と169項目の達成基準があり「貧困をなくす」「飢餓をゼロに」など発展途上国向けのものから、「平和と公正をすべての人に」「ジェンダーの平等」といった先進国も達成しなければならない目標があります。

2006年にアナン国連事務総長が、機関投資家に対して「ESG課題(環境、社会、企業統治)」を反映させるガイドラインを提唱したことから、企業にとってはSDGsを無視できない状況となりました。

しかしながらSDGsが消費者まで浸透しているでしょうか?

「これは世界にとって素晴らしい理由」「あなたが行動すれば得をする理由」をいくらロジカルに説明しても人は動くとは限らない。

1人ひとりの「感情」を揺さぶるように「共感」を生む仕組みがないと消費者にとっては「キレイごと」になってしまう。

人は悪魔に熱狂する 悪と欲望の行動経済学

消費者の感情を揺さぶる方法として、行動経済学では「身元のわかる犠牲者効果」という心理現象を活用できます。

「身元のわかる犠牲者効果」とは多くの知らない誰かが困っていることよりも、実在する1人が具体的に困っていることに共感をするという性質があります。

プラスティックストローをやめようという動きも、「海ガメの鼻にプラスティックストローが刺さって血を流している映像」が世界に配信されたことで、背中を押された一面があります。

「感情」を揺さぶるような「共感」が重要です。

私がオーガニックを仕事にした理由

「人間は必ずしも合理的に意思決定をしていない」という行動経済学の考えをあてはめると、私がオーガニックを仕事にした理由も合理的ではないと思います。

きっかけは全くノウハウのない状況で、下北沢でオーガニックカフェを立ち上げることになったからです。

今から20年以上前で日本にはオーガニックカフェはほとんどなく、オーガニック食材も少なかったので、もっと専門的に業界を知りたいといった思いがありました。

そんな思いを抱えながら初めての転職でご縁があって「オーガニック業界」に入りました。

実際に働いてみると食品から化粧品、雑貨まで幅広く、ひとつひとつの商品に生産者のストーリーがあって面白かったのです。

私がオーガニックを仕事にした理由は「面白かった」という単純な感情です。

その面白さを表現したいと思っているのですが、まだまだですね。

個人的にはコロナ禍でマスクやステイホームなど行動が制限されていると、SDGsといわれてもさらに気にすることが増えてしまって、心が疲れてしまうだろうなぁと思います。

なので時間をかけてオーガニックやSDGsの面白さを、広めていきたいと思っております♪